お知らせ
その他
「伊沢学校林」の実地踏査に行って来ました
2019.7.3梅雨の雲間をぬって、上伊那地域振興局林務課の方の案内の下、学校の校長先生、事務長さん、事務局の田中で「伊沢学校林」の実地踏査に行ってきました。
《伊沢学校林とは…》
昭和17年、高遠町出身で枢密院顧問官、伊沢多喜男氏が同年春の衆議院議員選挙に当たり、空前の理想選挙を記念して上伊那郡下の当時の県立学校(上農、伊那中、伊那高女)の3校に、治山愛林の教育、治山治水将来の資源、国土経営の上から学校林設置が良いと、資金5,500円を寄付し、それぞれ3校に学校林が設置されました。伊那高女の学校林は伊那市西春近の権現山の北斜面に設置され、面積は十町歩でした。 |
80周年記念誌「八十年の歩み」66~69ページに詳しい記録が掲載されています。それによると
❖学校林まで徒歩2時間半、下の端から上部に至るのに傾坂を約30分を要するということで、作業場所に到着するまでに約3時間かかった。
❖作業日には朝7時30分(5月は7時)に出発し、帰校は午後4時30分、ときには5時になった。
❖作業の慰労として生徒一人ずつにパン一筒与えたり、報国農場のはぞ棒にする樹を一本ずつ持ち帰らせて報国農場へ立ち寄らせたりした。
今回の実地踏査では、学校林までの道路が補修工事中で通行できないということで、だいぶ遠回りとなる登山道を登ることとなり、伊那スキーリゾートのリフト終点あたりで車を降りて、約1時間半、急峻な斜面を権現山頂上付近まで登り、学校林まで今度は約30分下るという経路をたどりました。
実際に学校林に到着してみて…
約80年近く前からに植樹されてきたカラマツやヒノキが空高く伸び、きれいに整備されていて、また鳥の声が響くだけの静かな空気が流れていて、前日までの雨で湿った落ち葉のにおいが漂っている、鬱蒼とした森。学校林を見下ろすと、思った以上に急な斜面で、当時の女学生たちが長い時間をかけてここまで登ってきて、またこの急斜面で使い慣れない道具を手に、重労働をしたんだ…と、自分たちが高校時代すごしてきた環境とだいぶ違っていることにさまざまな思いを巡らし、しばらくそこを動くことができませんでした。(←疲れからくるものという説もあり?)
看板には昭和36年まで植林作業が行われていたと記されていました。